上達の指南
(4)「守りの調子」を求める
(寄稿連載 2011/07/19読売新聞掲載) アマチュアの皆さんと指導碁を打つ時によく思うのは、「もっと守り方がうまければ」ということです。
攻め方にも基本となる考え方があるように、守り方にも基本があります。そのひとつが、調子を求めることです。
【テーマ図】 白25までの局面。気になるのは下辺、白イと打ち込まれる弱点でしょう。これを踏まえ、次の一手を考えてみてください。
【1図】 黒1の肩ツキから3のツケは、黒9まで左辺を盛り上げようというもの。しかし白10の打ち込みが厄介です。黒が悪いわけではありませんが、紛れの余地が生じています。
【2図】 黒1とボウシして白2と換わり、調子で黒3と飛ぶ。一つのパターンで、よく見かける手段ではあります。
しかし依然としてAの打ち込みが残っているのが不満。準正解といったところでしょうか。
【3図】 黒1のケイマも一つの形ですが、白2と構えられたあと、やはりAの打ち込みが残ります。
【4図】 黒1とこちらにボウシするのが正解。白2とこすませ、その調子で黒も3とこすむのがポイント。これで白からの打ち込みをなくし、すっきりと守ることができました。白4に黒5から9まで、左の模様化にも成功しています。
白2でAの飛びなら、黒Bがしっかりした形で満足です。
(おわり)
●メモ● 今回のテーマであった「守りの調子」について、金八段からもうひと言。「プロの碁を鑑賞する時に、守り方に注目してみてはいかがでしょうか。プロは漠然と守るのではなく、必ず守りの調子を考慮しています。その呼吸をぜひ感じ取っていただきたいと思います」