上達の指南

北野亮七段の「石の強弱を見極めよう」

(1)じっと我慢し時機を待つ

(寄稿連載 2014/01/07読売新聞掲載)

 一局の碁には、攻撃するか守るか、進むか引くか、という作戦の岐路が現れます。その判断には石の強弱が重要なポイントになります。自分の石が弱いのに攻撃に出ても、逆襲されて敗因になりかねません。そんな局面では、じっと我慢をし時機を待つのです。
 逆に強い時にひるんではいけません。しっかりと戦うのです。
 私の指導碁を題材に「石の強弱」をじっくり考えてみましょう。上達の一助になれば幸いです。

 【テーマ図】 4子局のよく見る布石です。白11に対してどう打ちますか。

 【参考図】 左下の黒2子はそんなに強くはありません。黒1ツケから7までは明らかに打ちすぎです。黒7を8は、白Aでお手伝いした結果になります。黒1を10とこすみ、白B、黒C、白D、黒Eは、白Aと構えられて弱気にすぎます。

 【正解図】 黒1とこちらにつけ、白2に黒3と押さえるのがいいでしょう。黒11まではほぼ必然で、黒は生きているうえに、厚くて立派な形になりました。文句のつけようがありません。

 【実戦図】 黒1のコスミツケから3の運びには合格点を与えられるでしょう。
 戦いは右上に移り、白4のカカリから8と一間に構えてゆとりを得ようとしました。
 黒9のコスミから積極的に白を脅かしにいきました。白12には黒13と反発し、一気に主導権を握りました。

●メモ● 北野七段は1969年生まれ。44歳。神戸市出身。早瀬弘九段(故人)門下。90年入段、2002年七段。同門には後藤俊午九段らがいる。今も同市に住まい、家庭では8歳の長男と5歳の長女に囲碁を教えている。「一日も早く強くなってほしい」と、良き父親の顔を見せる。

【テーマ図】
【参考図】
【正解図】
【実戦図】