上達の指南

甲田明子三段の「三々への対策」

(4)先手を取って好点に回る

(寄稿連載 2015/10/20読売新聞掲載)

 隅に一手入れて守った場合と、三々を許して隅が相手の地になった場合を比較すると、出入り20目以上の違いがあります。視点を変えて考えると、それ以上の大場がなくなったときが三々入りのタイミングと言えるのではないでしょうか。

 【テーマ図】 盤面全体を見渡すと、白1の三々が最大の大場。この一手の局面です。周囲の状況を見て、押さえる方向を決めてください。

 【正解図】 黒1、3、5のコンビネーションが大切です。まずは黒1の押さえです。そして3と止め、白4のカケツギに黒5と当てるのです。
 Aの切りは気にしない。隅は白に進呈した形ですが、これも気にしない。重要なのは先手を取ることなのです。隅の白地より大きい地点に回れば、元は取れる計算です。

 【失敗図】 黒3の押さえが問題。黒13まで鉄壁の厚みですが、白14が絶好点。右辺の黒地は窮屈な感じですが、上辺の白地はふっくらです。隅をえぐられた損が目立ちます。

 【参考図】 テーマ図に▲と△の交換がある場合は黒2と押さえたい。黒2で3と下がり、攻めの姿勢を見せるのは失敗。上辺の白は強く、とても攻め切れる石ではないからです。
 三々に入られた時、押さえる方向は基本的には二つです。ちょっと立ち止まり、全体の状況を見渡して、どちらの押さえを選択すべきか考えてください。
(おわり)

●メモ● 甲田三段は、会社員のご主人と3人の子どもの5人家族。子どもたちには「囲碁のルールは教えましたが、無理強いはしていません」。コーヒーが大好きで、自分で豆からひく本格派。苦みがあって、酸味が少ないのが好み。きれいな泡が立っておいしくできたときは幸せな気分になる。

【テーマ図】
【正解図】
【失敗図】
【参考図】