上達の指南
(1)中盤への構想立てやすい
(寄稿連載 2010/02/02読売新聞掲載) ◆第35期名人戦予選 (白)六段・首藤瞬 (黒)九段・小松英樹
1978年に行われた第2期棋聖戦、藤沢秀行棋聖と挑戦者、加藤正夫本因坊との七番勝負は、7局すべてが中国流の布石でした。中国流は現在は国際棋戦でも根強い人気を保っているようです。僕は棋聖戦の五段戦で優勝した当時から、先番の時は中国流に決めていたぐらいに愛用してきました。
今日から4回にわたり、中国流を紹介させていただきます。中国流の長所は、布石から中盤への構想が立てやすいことでしょうか。
【局面図】 白24と締まったところです。この手ではイの押しも好点で、こう打つ棋士も多いと思います。ここでまず目に付くのは、ロのスベリとハのカドの急所でしょう。
【参考図1】 黒1に白Aと受けてくれれば、利かしですが、白2と押されるかもしれません。
【参考図2】 黒1には、白2しかなく、黒3、5とハネノビし、白6に黒7の引きとなります。黒は立派な打ち方で、白はまだ眼形がはっきりしていません。参考図1と参考図2は、どちらともいえません。
【実戦図】 僕は黒25のケイマを選びました。20年ほど前、本因坊リーグでも打った記憶があります。白26に、黒27と飛んで右辺の黒模様を大切にしたいのです。白28に黒29と続けて打ったのも、同じ考えからでした。次に白Aのコスミなら、黒もBとこすんで、黒Cのツケのいやみが残ります。
僕は黒25が好みです。
●メモ● 小松英樹九段の昨年の成績は19勝9敗。勝率は6割7分を超える立派な成績だが、本人は不満顔。「ここしばらく30局を切ったことはなかったと記憶している。3勝1敗ぐらいのペースで打ちたいし、今年はリーグに入らないとなにも始まりません」