上達の指南

小山空也三段の「進化する序盤作戦」

(2)カタツキで忙しくする

(寄稿連載 2016/08/30読売新聞掲載)

 最近は布石から過激になる傾向があります。中国、韓国の影響は言うまでもありませんが、黒番、白番に関係なく厳しさを求めて、布石から戦いに突入することも珍しくなくなりました。

 【テーマ図】白6の大ゲイマガカリに黒7とこすみ、黒9までおなじみの定石です。ここで白10と肩を衝いて激しくいくのが最近のはやりです。

 【1図】これまでの常識は白1の一間飛びでした。しかしこれには黒2のノゾキを一本利かされて4に開かれます。次に黒Aが厳しいので、白は5と守っておけば無事です。しかし白は後手であり、ややつらいという評価です。

 【2図】そこで考え出されたのが△のカタツキで、忙しく持っていく狙いです。黒は1とはい、白2の飛びに黒3、5と割りつぎ、7と飛んで一息つく。これが常識的な運びでしょうが、白8のケイマとなれば黒一本取られています。

 【3図】黒はワリツギではなく、1と裏からのぞくのが好手です。白は2と押し、黒3に白4とたたきます。黒5のハネ以下白8で一段落し、白は中央が手厚く、黒は右辺に進出して互角の分かれでしょう。
 手順中、白2で3のツギなら黒Aとこすんで、黒十分です。

 【4図】△に黒1とこすんできた場合は、白2に押さえ、黒3に白4、6が簡明です。黒7に白8の開きまで、これは白打てるでしょう。

●メモ● 小山三段はいくつかの研究会で勉強しているが、最も力が入るのが「空研(そらけん)」。小山三段が声をかけてスタートした研究会で、空也の「空」をとって名称が付けられた。メンバーは一力遼七段、本木克弥七段、孫喆四段、芝野虎丸二段ら、今注目の若手研究会である。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】