上達の指南

小山空也三段の「進化する序盤作戦」

(3)先の先までパターン化

(寄稿連載 2016/09/06読売新聞掲載)

 最近の布石の特徴のひとつにパターン化があります。研究に研究を重ねた結果、20手以上も「ほぼ絶対」の手順となるケースもあるほどです。

 【テーマ図】白16と割り打ち、黒17の詰め以下21まで必然です。ここで白22のケイマが研究された一手です。以前はイの一間飛びが常型でしたが、手を抜かれて黒ロと詰められ、白ハに黒ニで黒が十分過ぎる、となったのです。

 【1図】白1に黒が手を抜いて2などに先行すると、白3のカケ以下、有無を言わせず白13まで一本道。黒14の切りから白19まで、白の大模様が完成です。これは黒がいけません。

 【2図】従って、白1に黒は手を抜きにくく、黒2とつけるほかありません。白3のハネに黒4と引き、白5のツギで一応無難な分かれに見えます。
 しかし、中央の白が厚くなり、白Aの挟撃などが強烈で、黒不十分です。

 【3図】気合で黒1と切るよりなく、白は2、4の当てツギから6と切ります。
 黒7の当てから9、11と頑張って3子は取れますが、白12のノゾキ一本から14の当てで黒1子は身動きできません。
 この後、黒Aの逃げには白B、黒Cの交換から白Dと押し、以下、白Hまでで黒取られです。
 以上のように、テーマ図の白16に割り打つと、本図の進行がひとつのパターンとなります。こうした研究は中国、韓国が一歩、先を行っています。

●メモ● 小山三段はスポーツ観戦が趣味。リオデジャネイロ五輪の放送にはくぎ付けとなった。陸上短距離の桐生祥秀選手は同世代とあって、応援には特に力が入った。100メートルは準決勝進出がならなかったが、400メートルリレーでは感動の銀メダル。「素晴らしい走りにパワーをもらいました」

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】