上達の指南
(1)「隅にこもる悪手」に注意
(寄稿連載 2008/10/06読売新聞掲載) 私は初心者の方と指導碁を打つことも多いのですが、した手には共通の負けパターンがあるように感じています。初級からひとケタ級へと上達していくためには、そうした悪癖を直すことが必要です。9子局を題材に考えていきましょう。
【テーマ図】 初手、白1に対する黒の応手を問います。初心者の方は早くもここで過ちを犯してしまうものです。
【1図】 隅の地を確保すべく、黒1、3と打ってくる人が実に多いですね。白4にも黒5から9まで。確かに隅の地を得ることはできましたが、この進行は白を強化させ、「隅にこもった悪手である」と認識を改めてください。
このあと白10もしくはAと入っていくことになりますが、まず100%、▲や■が取られる進行となります。
【2図】 黒1とくっつけてくる人も多いのですが、白2とハネられ、成功した例はありません。黒3に白4と伸びられ、この後は▲が取られるというパターンです。
【3図】 白が△と離れて打ってきた時は、黒も1もしくはAと離して打つ。これが基本法則です。白2に対しても黒3もしくはB。白としては黒3でCやDと接近してきてくれることを期待しているので、黒3と冷静に離して打たれると、局面を動かす手掛かりがつかめず困り果てます。
●メモ● 黒瀧七段は1975年7月生まれ。青森県弘前市出身。小学校6年生の時に小学生名人となり、その後、上京して大枝雄介九段の内弟子に。90年入段、91年棋聖戦初段戦優勝、2001年七段。黒瀧正樹五段は実弟、潘坤ユ初段は夫人。1男1女の子煩悩なパパ。