上達の指南

黒瀧正憲七段の「ひとケタ級への道」

(4)自分の勢力圏では堂々と

(寄稿連載 2008/11/10読売新聞掲載)

 今回は「自分の石数が多い場所での戦い方」についてお話しします。

 【テーマ図】白1のツケはうわ手の常套(じょうとう)手段。周囲は黒石ばかりですから、何も恐れず堂々と戦ってほしいのですが。

 【1図】黒1の伸びは安全な手ですが、白2から10まで右辺で地を持たれては甘い。黒1はあまりに弱気です。

 【2図】自分の石数の多い場所では、自信を持って黒1と押さえてください。黒Aとどちらを押さえるか迷うかもしれませんが、「地にしたい方から」が基本ですから、この場合は黒1ですね。
 対して白は2の切り。初心者の皆さんはこれを「取りに来られている」と思うようですが、この被害者意識をぬぐい去ってもらいたいのです。

 【3図】前回、「自分の石数が少ない場所では当ててツギ」とお話ししました。しかしこのケースで黒1、3の当てから5のツギは失敗です。白6まで▲を取り込みつつ治まられます。

 【4図】自分の石数が多い場所では「取られやすい石を伸びる」が鉄則です。この場合は▲の方が取られやすいので黒1と伸び、白2には黒3、5。黒が有利な戦いであることは明白です。
 白は困っているからツケ切るのです。従って恐れるのではなく「白は苦しがっているのだな」と思えるようになればシメたものです。
(おわり)

●メモ● 黒瀧七段は日本棋院野球部の中心的存在。小学生時代にリトルリーグ経験があるということで、その野球センスはなかなかのもの。ポジションはショートで、ゴロのさばきは華麗。バッティングには意外性があり、難しいボールを巧みなバットコントロールで外野に運ぶ。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】