上達の指南

三村智保九段の「取らない高等戦術」

(2)定型でも状況見極める

(寄稿連載 2018/11/21読売新聞掲載)

 同じような形でも、周囲の状況によって判断が変わります。いつも同じパターンで対応していたのでは、上達はおぼつかないでしょう。自分が強い石なのか、まだ弱くて補強する必要があるのか、状況を見極めて方針を立てましょう。

 【テーマ図】△二子がいかにも頼りない姿をしています。断点が見えていますから、すぐにでも切りたくなるでしょう。それが正しい場合もありますが、なにか勘違いしていないでしょうか。この形は▲のコスミがあって、黒はすでに生きている強い石です。慌てて眼を作る必要はありません。

 【失敗図】黒1と切るのは定型ですが、それでいいのでしょうか。白2、4のアテツギに黒5と抱えれば△一子は取れます。もう眼の心配がなくなって安心しているのかもしれませんが、ちょっと待ってください。この黒は▲のコスミがあって、元々生きている石だったのです。生きている石にさらに眼を追加しても凝り形ではありませんか。その間に、白6に開いて下辺を占領されてしまいました。なにかおかしいと思いませんか。

 【正解図】黒1と外から迫って△二子を大きく攻めるのが正解です。白2のノビにも、黒Aとは切りません。白Bから捨てられて、黒C、白D、黒E、白Fとなっては、黒模様の広がりは期待できません。黒3、5と飛んで、白を大きく攻めるのが一貫した方針です。黒7の開きまで黒模様が立体的に広がりました。黒の理想的な展開です。

●メモ● アマチュアが上達するには、詰碁に慣れ親しむことが効果的と説く。解けなくても気にすることはなく、分からなければ答えを見て覚える気持ちで取り組むことを勧める。繰り返し解くことが肝心で、慣れれば自然に筋が浮かぶようになる。実戦で大きな効果を発揮するはずだと言う。

【テーマ図】
【失敗図】
【正解図】