上達の指南

宮崎龍太郎六段の「三々対策入門」

(1)大事な方から押さえる

(寄稿連載 2005/05/23読売新聞掲載)

 三々に打ち込まれると困ってしまう。どう対処したらいいのか――。初心者の方からよく尋ねられます。特に置き碁の場合は置き石が星の位置ですから、三々入りの局面が必ず出てきます。三々対策がしっかりできれば、棋力向上まちがいなしです。

 さて、私は質問を受けたとき、こう答えています。「大事にしたい方から押さえなさい」――と。押さえる方向は二つしかありません。打ち込まれたとき、手拍子で打たず、ちょっと立ち止まって、どちらの方が大切なのかを考えることが重要です。

 【テーマ図】 よく出てくる形ですね。白1と打ち込まれました。左辺と上辺、どちらが大切でしょうか。

 【正解図】 もちろん上辺です。黒1と押さえます。黒9まで上辺はいい地模様になりました。
 黒9をイと継ぐのは腹中の白の動きだしを見られて味悪です。

 【失敗図1】 黒1の方から押さえるのは小さい。左下星に白石が控えているので左辺は発展性に乏しいのです。上辺はすそ空きでかなり侵食されるでしょう。

 【失敗図2】 押さえの方向はいいのですが、黒3と白イの1子を小さく取ろうとしてしまいました。初心者の方がよくおかす間違いです。白は4、6と大いばりではね上げてきます。この分かれは、白がのびのびしているのに対し、黒は凝り形です。左辺の黒1子も取り残されてしまいました。こうなれば白にすると、イの1子は取られたのではなく、捨てたといえます。

 石を取る時は大きく取るように心がけましょう。さて今回の問題、迷わず正解が打てれば級位は卒業です。

●メモ● 宮崎六段は1972年6月、福島県出身。大枝雄介九段門下。89年入段、96年五段、99年六段。90年棋聖戦初段戦優勝。宮崎志摩子四段は実姉。

【テーマ図】
【正解図】
【失敗図1】
【失敗図2】