上達の指南
(2)幅広い方から押さえる
(寄稿連載 2005/05/30読売新聞掲載) 三々に打ち込まれたときの打ち方、形というのはだいたい決まっています。それに従って対応すれば、決してひどいことにはなりません。自信をもって応じてください。
【テーマ図】 実戦でも見かける形です。発展性があるのは、もちろん左辺ですね。
【正解図】 黒1と押さえます。黒3、5とぴったり止めます。白6の切りが入りますが、心配はありません。黒15までしっかりと取りきって黒は満足です。白に抵抗手段はありません。左辺はいい模様です。上辺の白への攻め味も出てきました。
途中、白は8とはね、10とかけ継ぐのが肝要です。よく白12のところに継ぐ方がいます。白地の大きさは変わらないのですが、後に黒11の地点への下がりが黒からの利きとして残ります。下がりに手を抜けば、隅は生死をかけたコウになります。
【失敗図1】 黒1は押さえの方向が違います。黒は壁を作りましたが、この幅ではその威力も生きてこない。これでは壁というより、凝り形と言っていいかもしれません。
それに隅の白地も大きい。正解図では白地は6目ですが、この図では9目あります。すそ空きですからさらに黒地は侵食されるでしょう。黒さっぱりの図です。
【失敗図2】 黒1から3、5の二段バネは厳しいですね。力自慢の方が打ちそうです。黒は隅の白2子をもぎ取りましたが、白も黒1子を取ってくつろぎました。この損得はどうでしょう。
隅の黒地は20目程度です。一方の白はこのままで生きています。黒からイに臨まれても、はっていけば大丈夫。つまり白はここは手抜きをし、ほかの大場に向かうでしょう。
●メモ● 宮崎六段は5歳ぐらいで、県代表クラスのアマ強豪である父親から囲碁の手ほどきをうけた。小学5年の時、小学生名人となり、その年の10月、院生になった。