上達の指南

宮崎龍太郎六段の「布石の四か条」

(1)大場より急場に向かう

(寄稿連載 2009/09/01読売新聞掲載)

 囲碁教室の講師をしていて、子どもから大人までアマチュアの方の碁に接しています。よく勉強していても上達が足踏みしている方は、布石の考え方を正しく理解していないことが多いようです。誤解を解いて少し整理すれば、2子くらいすぐ強くなります。布石の基本を四つにまとめましたので、一緒に勉強しましょう。

 【テーマ図】 白番です。まだ序盤の段階で、大場はたくさんあります。しかし何を置いても向かいたい急場があります。どこでしょうか。

 まず、全局を見渡してください。どこもきれいな形をしています。立派な布石です。まだ治まっていないのは右下の白ですね。右辺の▲が高い四線にあるのもポイントです。

 【1図】 右辺が焦点です。まだ右下の白が治まっていませんから、白1と滑ってゆったりくつろげるのが好点でした。▲の高い石の下に潜り込んで、右辺の黒地を削っていますから、一石二鳥でもあります。
 左辺は黒2と開かれても、痛くありません。白3と隅を守る手に回れば地も増えて十分です。

 【2図】 左辺に白1と開くのは大場ですが、何といっても黒2のケイマが絶好点です。ここを占められると、白の根拠が薄くなります。

 黒2は白の根拠を奪いながら、右辺の黒地も大きく増やしています。こんな絶好点を相手に打たせてはいけません。

●メモ● 宮崎六段は福島県出身。1972年6月16日生まれ。大枝雄介九段門下。宮崎志摩子四段は実姉。83年小学5年で全国少年少女大会優勝。89年入段、99年六段。90年棋聖戦初段戦で優勝。現在、日本棋院ジュニア囲碁スクール講師。大人向けの教室も担当している。

【テーマ図】
【1図】
【2図】