上達の指南
(2)模様の接点が「天王山」
(寄稿連載 2009/09/08読売新聞掲載) 囲碁の本を読んでいると、天王山という言葉を目にすることがあるでしょう。絶対に逃してはいけない好点だということですが、その好点がどこなのかが分かるかどうかが問題です。好点が分かれば、だれだって優先します。天王山を見分ける分かりやすい方法をお教えしましょう。天王山の特徴の一つが模様を背景にしていることです。お互いの模様が接しているところが、天王山なのです。
【テーマ図】 黒番。下辺の黒模様が大きくなりそうです。左辺の白模様と接していて、相手の模様も広がろうとしていますから、ここが焦点です。右上にも黒のいい構えがありますが、ここに白模様が出来る可能性はありませんから、天王山にはならないのです。
【1図】 下辺の黒と左辺の白の接点に、黒1とケイマするのが天王山を占める絶好点です。右辺に白2と開くのも大きいですが、黒3と左辺を連打すれば、白模様が消えてしまいます。白2でAと受けて、後から模様を囲うのではスケールが小さいですから、黒はよろこんでBと押していきます。囲い合いは黒が歓迎です。
【2図】 右辺を黒1と止めるのは、右上に模様を作る手ですが、このスケールではたいしたことがありません。それよりも白2のケイマが絶好点で、左辺の白模様が広がり、下辺の黒模様がしぼんでしまうので、やはりここが天王山です。
●メモ● 子どもを教えるのは大変だが、宮崎六段は、もう6、7年やってコツが分かってきたという。モットーにしているのが、「教えすぎない」こと。1日一つ覚えてもらえば十分で、一度にたくさん詰め込もうとするとうまくいかない。子どもに合わせて、長い目で見てあげるよう心掛けている。