上達の指南
(4)定石の一段落を見極める
(寄稿連載 2009/09/29読売新聞掲載) 定石が始まると、どこまでも打ち続けてしまう傾向があります。どこでやめて他の好点に向かうべきなのか、その判断が難しいのです。今回は、定石の一段落を見極める判断力を養うことがテーマです。
【テーマ図】 黒番。上辺に黒模様ができています。右上の定石で、白が△に滑ってきたところですが、ここで黒は他の好点に転じるべきでしょうか。それとも定石を続行して、形を決める方がいいでしょうか。
【1図】 右上の定石は一段落と見て、上辺の黒模様を広げましょう。
黒1の飛びが絶好点です。白2のコスミツケには黒3と下がって受けて十分です。右上の厚みと連携して、黒模様が雄大です。右辺は白4と進出されてもたいしたことがありません。右下から△が迫っていてすそ空きですから、元々、黒地はまとまらないところです。黒5、7と押し切って、上辺の模様を拡大するのがいい手になります。
【2図】 黒1のツケは部分的にはいい手ですが、ここを打ってしまうと止まらなくなります。白2から6のツギのとき、黒7のツギが省けません。後手で右辺を固めても、△が迫っていて小さいのです。白8の打ち込みが厳しくて、上辺の黒模様もまとまりません。
布石に明るくなれば、無理をしなくても自然にリードすることができます。きれいな布石で、楽しい碁を打ちましょう。
(おわり)
●メモ● 宮崎六段が最近はまっているのが、スポーツジム通いである。マシンで体に負荷を掛けたり、ダンベルやベンチプレスで鍛えている。マッチョを目指しているのではなくて、ボクサータイプの細くてもしっかり筋肉が付いている健康的なのが理想だという。ともかくスタイルがいい。