上達の指南
(3)厚みを小さく囲わない
(寄稿連載 2009/09/15読売新聞掲載) 厚くなったら、そこを地にしたくなるようですが、それでは厚みが生きません。厚い石は強い石ですから、戦いにこそ力を発揮します。小さく囲うのではもったいないのです。
【テーマ図】 黒番。右上に黒の強大な厚みができています。ここを地にするようでは勝てません。
△にケイマされたところですから、ついこの手にあいさつしたくなりますが、ひと呼吸置いて局面全体を見渡してみましょう。相手の意図を見抜いてください。
【1図】 右下からの白模様が完成する前に、黒1と肩突きするのが消しの絶好点です。
黒5の曲げまで白の拡大を押さえ込めば成功です。白模様がすっかり消えました。白6と飛ばれても、上方は黒が厚いですからこたえません。
【2図】 △と打たれると、相手の手についていって、黒1と受けたくなります。一度受けると、白2のケイマにまた黒3と受けてしまうでしょう。
右上の黒地は確定しましたが、このくらいではたいしたことがありません。それよりも、白4の飛びが右下の白模様に芯を入れて絶好点になります。右上の黒より、右下の白の方がスケールが大きいのは一目瞭然(りょうぜん)でしょう。
せっかくの厚みも、小さく囲ったのではもったいない。黒1は、相手が模様を囲うお手伝いをしたようなものです。
●メモ● 宮崎六段の子ども教室は級位者中心なので、有段者になると上位の教室を勧める。受験で囲碁から離れる時期もあるが、一段落すると戻ってきて、それがうれしいという。大人の教室では、強くなっても他へ移ることは少ない。大人は先生に付く傾向があって、長いお付き合いになるそうだ。