上達の指南

本木克弥七段の「無理のない攻め方」

(3)急所を突いて形を崩す

(寄稿連載 2016/04/12読売新聞掲載)

 石を攻める際にとても有効な手法は、相手の急所を突くことです。これによって石の形を崩し、攻めが一層効果的になってきます。

 【テーマ図】 河野九段は読みが深く、形勢判断の正確さは碁界屈指でしょう。今期本因坊リーグが初手合でした。

 白1、3と形を整えて小康を保ったところ。黒にはイとロの二つの狙いがありますが。

 【1図】 黒1の切りからいきました。白は2と引くほかなく、黒3とケイマで急所を突き攻勢に立ちました。

 白は4のツケ越しから6の切りが手筋ですが、黒は7と抱えて不満はありません。これによって黒5子の不安も解消されました。さらに白は8の備えが省けず、黒9以下15とついで中央の黒も安定し、攻めは成功しました。

 黒1、白2の交換をせず、単に黒3と急所を突くと、白A、黒B、白Cのカケツギで好形を与えます。

 【2図】 黒1のハネ出しからいくのは、功を焦った打ち方と言ってよいでしょう。白2の切りから4、6と出るよい調子を与えます。

 黒7以下白10まで一本道の運びで、黒5子は取られます。

 なお、黒が攻めを怠って、黒1でAと中央を備えていると、白8に先着されます。続いて、黒10の押しに白Bと伸びられると、一瞬にして攻守が入れ替わります。

●メモ● 本木七段は、第71期本因坊リーグ入りし、三段から七段に昇段した。「リーグ入りはひとつの目標だったので、とてもうれしかった」。開幕前は強豪ばかりで全敗も覚悟したが、終わってみれば5勝2敗の2位。挑戦権獲得はならなかったが、大健闘の成績だった。

【テーマ図】
【1図】
【2図】