上達の指南
(4)寄せは「先手」から打とう
(寄稿連載 2008/06/23読売新聞掲載) 最終回は寄せのコツをお話ししましょう。
寄せはプロでも正しく打つのが難しい分野です。でも、ひとつコツを覚えると、たちまち上達します。
「先手」(相手が必ず受けてくれる場所)から打つ。これが大切なコツです。
【1図】 黒先(コミなし)の対局です。黒番で、皆さんなら、まず、どこに打ちますか?
【2図】 白2子が当たりになっているのが目につきます。そこで黒1を考えた方が多いかもしれません。ところが、白2以下、正しく寄せられると、黒が負けてしまいます。黒1が「先手」ではなかったからです。
【3図】 黒1が正解。この場所は白4まで、黒が先手をとることができます。また、下辺は、2図の白2のように白から打っても先手。これを「両先手」といいます。早い者勝ちの場所なので、寄せになったら真っ先に打ちたいところです。
黒5は「サルスベリ」という踏み込んだ手。白の立場では、6とコスミツケ、勇気をもって8と押さえて12までが、分かりやすいサルスベリの止め方です。あわてなくても、このように先手をとっていけば、必ず黒13に打てるのです。
3図の結果は、黒の勝ち。寄せを正しく打つかどうかで、勝敗が入れ替わってしまうのですね。
(おわり)
●メモ● 向井初段は、梢恵初段、千瑛二段と共に、7月から日本棋院のインターネットサイト「幽玄の間」とスカイパーフェクTV・囲碁将棋チャンネルで同時に始まる入門講座を担当する。