上達の指南
(1)犠打放ち「当たり」に追う
(寄稿連載 2009/01/05読売新聞掲載) 新年おめでとうございます。昨年に続き、ルールを覚えた後に身につけていただきたい囲碁の大切なポイントをお話ししていきます。第2弾の今回は、実戦的な形に慣れることがテーマです。
さて、ルールを覚えたばかりの頃は、相手の石を取るのが楽しいもの。でも、石が込み入ってくると、取れる石を見逃してしまうケースが多いのです。今週は石を取るテクニックを実戦形で考えましょう。
【1図】黒番です。黒Aと打ってしまいそうですが、白Bと守られて白は連絡。△の5子を取れないばかりか、左側の黒3子を取られてしまいます。
ここは、発想を飛躍させた黒Bが正解。白Aと黒石を取った後の形は、白石が当たり(あと1手で取られる状態)で、黒は再びBと打って白6子をまとめて取り返すことができます。左側の黒3子も生還です。この形を「ウッテガエシ」といいます。
【2図】やはり黒番です。実戦では黒Aと打ってしまいそう。でも、それでは白Bと守られてしまいます。
【3図】黒1と犠打を放つのがテクニック。白2と取らせてから黒3と白7子を当たりにします。白1と継いで守ったら、黒Aで白9子をまとめて取れます。このように当たり、当たりと追いつめて取る形を「オイオトシ」といいます。
●メモ● 向井芳織(かおり)初段、梢恵(こずえ)初段(次女)、千瑛(ちあき)二段(三女)は、囲碁界2組目の三姉妹棋士。「姉妹でタイトル戦を戦うのが目標です」と話す。「この欄をまた担当させていただけることになり、喜んでいます。今回は実戦的な問題をとりあげていきますので、お楽しみに」