上達の指南
(4)「ダメ詰まり」にご用心
(寄稿連載 2009/02/02読売新聞掲載) 先週に引き続き、終局間際の場面を題材にしましょう。最終回のテーマは「ダメ詰まり」です。
碁を覚えたての頃は、終局間際によく「事件」が起きます。その原因のほとんどが「ダメ詰まり」によるものです。ダメが詰まってくると、いつの間にか自分の石が当たりになっていて、生きていたはずなのに取られてしまった、という「事件」が起きるのですね。
【1図】黒地と白地の境界線はすべて決まり、「ダメ」と「手入れ」を残すのみ。白番でどこに打てばいいでしょう。
まず白Aは失敗。黒Bと取られてしまいます。この部分は白Bの手入れから打つところです。
では、白Cはどうでしょう。実はこれも失敗。ダメを詰めたことによって、黒Dで白6子が当たりになってしまいます。白Eと逃げても黒Fで取られてしまう形。この部分も、先に白Fなどの手入れが必要です。
【2図】やはりダメ詰まりが命取りになりそうな場面です。白番でどこに打ちますか。
【3図】白1と打ってしまいそうです。ところが黒2と打たれて悲鳴をあげることに。白Aと当たりを守っても、黒Bでまとめて取られてしまう形です。白1では、まず白Bと守り、黒1、白Aが、終局までの正しい手順になります。「ダメ詰まり」にはご用心です。
(おわり)
●メモ● 向井芳織初段は「囲碁は女性にぴったりのゲーム」と話す。「負けても悔しさが少なく、和やかに1局を振り返ることができます。囲碁仲間とはいつまでも親しく交流できるので、グループで覚えるのもお薦め」。東京・八重洲囲碁センターで「はじめての囲碁レッスン」の講師も務めている。