上達の指南

村上晶英三段の易しいカタツキ戦法

(1)軽快に模様を消す

(寄稿連載 2017/07/25読売新聞掲載)

 「カタツキ」という用語を耳にしたことがあるでしょう。カタツキは、序盤、中盤さまざまな局面で有効な戦法です。
 本講座でカタツキのノウハウを学んで、実戦で活用してみてください。

 【テーマ図】
 黒5の締まりに白6と三連星に構え、黒も7と辺を占めて模様対峙の碁になりました。
 黒13と構えたところで白は消しに向かいますが、どこから手を付けますか? ここで今回のテーマ「カタツキ」が有効です。

 【1図】右下隅の小ゲイマジマリに白1のカタツキが絶好の一手です。小ゲイマジマリにこのカタツキは、最近、囲碁AIが多用しプロの碁でもよく見られるようになりました。
 黒2の押しには白3の飛びが軽く、黒4の伸びに白5と軽快に構え、白の消しは成功です。

 【2図】白1に黒2と下からはうなら、やはり白3の飛びが軽快です。続いて、黒4と迫れば、白5とあくまでも軽いタッチが肝要です。
 なお、黒4でAの割り込みなら白B、黒Cに白Dとケイマする調子で、1図同様に好形です。

 【3図】白1のボウシも消しの常とう手段ですが、この局面では黒2とこすまれるでしょう。白は3以下7のケイマが形ですが、黒8と大きく構えられ、白不十分です。

 【4図】白1のボウシも模様を消す有力な手法ですが、黒は2とケイマし下方を重視します。白3以下常識的な運びですが、黒12と攻められ、白失敗です。

●メモ● 村上三段は、1984年千葉県生まれの33歳。178センチ、80キロの立派な体格だが、最近は「健康体操」にはまっており、週に2回は教室に通っているという。生徒は5、6人で、休憩時間を入れて1時間半という本格的なもの。「健康体操のお陰で体が引き締まってきました」

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】