上達の指南
(4)実戦で使える消しの技
(寄稿連載 2017/08/15読売新聞掲載) カタツキ講座の最終回は、私の実戦から題材をとりました。
【テーマ図】私の先番。黒11の一間バサミに白12から14のカケは、黒の模様を回避する策です。これに黒は17以下19、21とはい、黒23以下27と実利を占めました。
白は対抗上28のツケ以下34と下辺に大模様を張ってきました。
黒は白模様の消しが必至ですが、どこから行きますか? ヒントはカタツキです。
【1図】黒1のカタツキがぴったりで、この一手と思いました。白2の押しに黒3の飛びから5のケイマが軽快です。
白6の出から8の切りは強引ですが、黒9の当て以下15とかけついで、黒の消しは不満のないところです。
【2図】白2とはえば黒3と飛び、白4の割り込み以下黒7のケイマまでは、これまで見てきたようにカタツキの定形です。
白8の切りには黒9以下15まで、これも黒の成功です。
【3図】なお、黒1に白2と大上段に振りかぶるなら、黒3の押しから7と開きます。黒Aの狙いもあって、黒が十分にさばけます。
【4図】1図に戻って、この状況ではカタツキが最善の消しですが、これで黒1の消しなどは白2と受けられます。黒3の押し以下は一例ですが、黒7に白8と挟撃されると、黒は容易に根拠が持てません。
カタツキの効用はさまざまです。ぜひ実戦に採り入れてください。(おわり)
●メモ● 村上三段は昨年から日本棋院の将棋部に入った。ルールは囲碁より早く小学校2年生頃に覚えており、昨年秋には囲碁・将棋・オセロの3種目大会にも参加。藤井聡太四段の人気につられ、1、2か月前からはインターネット対局も始め、腕を磨いている。