上達の指南

村上晶英三段の易しいカタツキ戦法

(3)サバキに効果を発揮

(寄稿連載 2017/08/08読売新聞掲載)

 カタツキは、ほぼ4線が目安でした。カタツキが得意の囲碁AIは、5線から臨むこともあります。しかし、皆さんは4線を常識としてください。

 【テーマ図】
 黒9、11のカカリから13と構えた形は珍しいでしょう。黒17と実利を稼いだところで、左辺の間隙を突いて白18の打ち込みは逃せません。黒9の1子のサバキ方が問題です。

 【1図】黒1のカタツキからいくのがサバキの好手です。白2と受ける一手に、黒3、5とツケふくれます。
 白6とつぐほかなく、黒7と下がって黒は安定します。続いて、白8から10に黒11の曲がりが肝要で、黒は確実に生きるとともに、次に黒Aと白への攻めが楽しみです。

 【2図】前図の白6で白1とはねて反発してくるなら、黒2から4、6が好形で、黒10まで黒十分です。
 このサバキがうまくいったのも、▲のカタツキと△の交換の効果です。

 【3図】白が1、2図の結果を嫌い、黒1、3に白4と変化してきたらどうするか? これには冷静に黒5と下がり、白6と掛けてくるなら黒7と鉄柱に守って、黒万全の構えです。

 【4図】2図で▲のカタツキの効果を示しましたが、直接黒1、3とつけふくらむと、白4の当てから黒9と進むことになるでしょう。
 これでは白10、12と幸便にノゾキを利かされ、白14まで黒苦戦となります。

●メモ● 村上三段は詰碁が好きで、比較的簡単な作品を数多く解いているという。昔の作品では加田克司九段が好み。最近では山田晋次六段の詰碁がアマチュアにお薦めという。自身の詰碁創作に関しては、思い付いた折々に手筋や死活の手筋を書き留めるようにしている。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】