上達の指南

仲邑信也八段の「攻めの急所」

(2)じっくりと「モタレ攻め」

(寄稿連載 2011/06/07読売新聞掲載)

 直線的に攻めて失敗してしまった経験は誰にでもあるでしょう。準備不足が原因です。周囲からじっくりといく攻め方も覚えてください。
 今回も「朝霞囲碁塾」の塾生の実戦から題材をとります。先番は3段、白番は4段、どちらも小学5年生です。

 【テーマ図】 ここまでまずまずの碁です。白24は焼き餅ですが、黒としてはいやな打ち込みかもしれません。ただ、この形の場合、絶対と言っていい対応法があります。黒25とこすみ、白26の伸びに黒27とはねるのです。問題はこの後です。

 【正解図】 黒1とつけ、下辺と、打ち込んだ石の分断を図る一手です。モタレ攻めですね。黒は一歩一歩行けばいい。白は眼形のないまま逃げるだけです。黒15のハネが絶好点。中央にも立派な模様ができました。直接攻めると逃げ出されて大変な時は、モタレ攻めが有効です。

 【失敗図】 黒1と上ツケし、白にポン抜かせてはいけない。黒は右辺を確保して満足というのでしょうが、「ポン抜き30目」の威力の方がまさる。中央の力関係があっという間に逆転です。天元の石が泣いているでしょう。初級クラスが必ずと言っていいほどやってしまう失敗です。

 【実戦図】 こすんで、はねるところまでは正解でしたが、黒1と押してしまいました。白2と出られては黒の方が大変です。分断して攻めるどころか、白は壁ができ、黒は隅に閉じこめられてしまいました。

●メモ● 仲邑八段は1973年、大阪府出身。38歳。父の薦めで日本棋院関西総本部の子ども教室に入り、そこで囲碁を覚えたという。院生となり、91年入段、2001年八段。関西を拠点としていたが、3年前、「環境を変えて、もっと強くなりたい」と東京本院に移籍した。

【テーマ図】
【正解図】
【失敗図】
【実戦図】