上達の指南

中根直行八段の「一度は試したい置碁序盤積極戦法」

(2)石音とは反対の方に打つ

(寄稿連載 2012/01/17読売新聞掲載)

 「石音のしたのとは反対に打て」という言葉を聞いたことがあると思います。一理あることで、ウワ手としては打った手に相手が付いて来てくれると打ちやすいものです。ウワ手のペースにはまってはいけません。

 【テーマ図】 白3とかかったとき、黒イと受けず、石音のした反対に4とこすみつけるのが積極策です。

 【1図】 黒1に白2と反応してくれるなら、黒3のハサミから5と飛んで、主導権は黒が握れます。白8の両ガカリには、黒9のコスミ一本で手を抜くのが軽い調子です。黒11、13とまっしぐらに白を追撃していき、黒優勢です。

 【2図】 途中、白1のボウシで脅かしてくれば、黒2、4のケイマが面白い。
 白5、7と強引に切断を狙ってくるなら、黒10の切りから12のツケがあります。こうなると右下の白が持たず、黒は心配ありません。

 【3図】 黒1に手を抜いて白2と両ガカリしてくるのも黒歓迎です。黒3、白4の交換から黒5の押さえが打てれば文句ありません。続いて、白6のハイなら黒7と開いて大模様を築き、黒大優勢でしょう。

 【4図】 白1の高い両ガカリなら、黒2、4とツケ伸びます。白5から7のケイマに、黒8と押さえて万全です。
 白9には黒10から12と手堅く運び、やはり黒の優位は言うまでもありません。

●メモ● 中根八段は碁界指折りの巨漢。体重は「秘密」というが、現在、ダイエットに取り組んでおり、成功したときには公表の予定とか。地方へ指導に出向いた際には、「当地の皆さんはとても強くて、今日は2、3キロやせました」と、笑いを誘うのが定石となっている。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】