上達の指南
(3)石数の少ないうちに戦う
(寄稿連載 2012/01/24読売新聞掲載) シタ手は、石数が少ない序盤のうちに戦うのが有効です。4子局で、白と黒が3手ずつ打ったときの石数は3対7。100手進むと50対54となって、その差はわずかとなり、白の戦略に巻き込まれやすくなるのです。
【テーマ図】 ちょっと極端に思えるかもしれませんが、白3とすべったとき、すぐに黒4と挟んで仕掛ける。一度試してほしい手法です。黒4でイと受け、白ロに黒ハでも問題はないのですが、主導権を早く握るのも戦上手のうちです。
【1図】 黒1には白2と三々にこすむのが定石で、黒3、5と有無を言わせず封じ込め、9と抱えます。白10のシチョウ当たりには黒11と抜き、黒17までとなって一段落です。黒は全局的に手厚く、置碁の理想形と言ってよいでしょう。
置碁では、このように手厚く大きく打つのがよく、局面が細分化されるのは避けるべきです。
【2図】 白が封鎖を嫌って、白1、3とツケ引いて変化してくれば、黒4と三々を占めます。白5の切りには黒6から8で先手を取って、10の守りがよい手です。白11とかかってきても、黒16まで十分です。なお、黒4で5とつぐのは頑張り過ぎで、白4にこすまれると2子が浮石になる恐れがあります。
【3図】 封鎖を回避する別策として、白1と当て込む手がありますが、黒2以下8のとき白Aのシチョウが不利で成立せず、白潰れです。
●メモ● 中根八段がよく見るテレビ番組は漫才、コントなどお笑いもの。子どもの頃からひょうきんで、小学校では授業中に1回は笑いを取らないとクラスメートが許してくれなかったという。お笑い芸人を目指したこともあったようだ。しかし小学3年で囲碁を始めてからは、見て楽しむことに。