上達の指南
(4)厳しく挟み形を決める
(寄稿連載 2012/01/31読売新聞掲載) 序盤に積極的に行く最大の利点は、形が決まって局面が狭くなり、シタ手に有利になることです。形が決まらず味残りとなると、ウワ手に付け入るスキを与え、やっかいな戦いに引きずり込まれてしまうでしょう。
【テーマ図】 白1のカカリに最も厳しく行くなら黒2の一間高バサミです。白が手を抜くと、黒イのツケで白は身動きが取りにくくなります。
普通は白3から7とすべりますが、ここで黒8のコスミツケが狙いを秘めた一手です。
白11のカカリに黒12以下は一例で、仮に白27までとなったとき、黒のパンチがさく裂します。
【1図】 黒1のコスミツケから3、5が必殺のコウです。黒には7のコウ立てがあり、9までのフリカワリは必然。
序盤でこれだけの大フリカワリになると局面が単純化し、黒は大歓迎です。
【2図】 白がコウを回避したいのなら、白1と当て込むなどの変化がありますが、黒2から4のハネが緩まぬ好手です。
白5、7で2子は取られ形ですが、黒10の後に黒AやBの利きがあって2子はまだ死に切っていません。
【3図】 なお、テーマ図の白5で、強引に白1と割ってくるなら、黒2と挟んで十分戦えます。
白5から9の脅しには、黒10以下12、14と一歩一歩出ていけば、白のほうがピンチに陥ることでしょう。
(おわり)
●メモ● 中根八段は料理を作るのが好きで、最近、中華鍋を買い替えた。チャーハンやマーボー豆腐などはお手のもので、中華鍋で作るカレーは絶品とか。買い出しから自分でするほどの凝りようで、さぞかし夫人から感謝されているかと思いきや、「もう当たり前という感じになっていて――」。