上達の指南

中野泰宏九段の「囲碁センサーを磨く」

(2)石の強弱で打ち方も変化

(寄稿連載 2018/08/29読売新聞掲載)

 今回は石の強い、弱いを判断し、その周囲の価値の違いを感じることを目指します。

 【テーマ図】四つの辺が空いています。みなさんのセンサーはどう判断し、優先順位をつけますか。ポイントは辺の石の強さ。碁盤の上半分は左右同形ですが、右辺と左辺の価値はまるで違います。

 【1図】右辺を黒から打つ手を考えましょう。Aから順にイメージします。右上隅が確定地になるのはAですが狭く、△の2子に響きません。B、Cと進むにつれ、地になりにくくなる反面、白への圧力が高まるのを感じられるでしょうか。

 【2図】黒1のツメが盤上最大と言える一手です。その理由は△の弱さにあります。白2にも黒3と合わせます。白を追及しつつ、右上を広げる有効な打ち方です。白△がすぐに危ないわけではありませんが、動きが制限されます。

 【3図】今度は左辺を白が打つことを考えましょう。右辺と同じように、白1はどうでしょう。ポイントは左辺の黒の強さ。白1を「熱いストーブに近づき過ぎた人」と感じられれば、いい感覚。黒AからCの反撃を狙われます。

 【4図】左辺を白が打つ時は、白1の二間ビラキが正しい着手。それほど左辺の黒の強さが影響します。

 もう一度テーマ図を見てください。右上隅と左上隅は同形でも、石の強弱で打ち方が変わることを、感じていただけたでしょうか。

●メモ● 中野九段は2011年に会社員の女性と結婚。中野九段は朝食、掃除、夫人は夕食、洗たく担当と家事を分担している。昨年、第1子を授かった。碁石をのみ込むといけないので、「子どもがいる時は家で勉強しません」。盤に向き合う時間は半分以下になったが、「子どもの笑顔が励みになります」。

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】