上達の指南
(2)佐々木さん 激戦制す
(寄稿連載 / 2017/01/17読売新聞掲載)◇準々決勝 白 谷口洋平 黒 佐々木悠介
準々決勝で最も激しい肉弾戦が演じられたのが本局、佐々木悠介さんと谷口洋平さんの対戦だった。
佐々木さんは福井県のアマ棋聖・名人・本因坊。第1回大会でベスト8の実績がある。谷口さんは元院生で東京都在住。第2回大会でベスト4に進出し、その後の棋聖戦ファーストトーナメントでもプロを相手に1勝を挙げた。
【テーマ図】左上の折衝で黒の佐々木さんがややポイントを挙げた感があり、白1の踏み込みは打開をもくろんだ積極手。対する黒2のツケが部分的には相当な手筋だったが「全局的には時期尚早。黒イと飛んでいて悪くなかったでしょう」と解説の鈴木伸二六段。
ただし碁はこの黒2を発端として、互いに最強手を繰り広げる激戦へと突入した。
【1図】黒は2から6と上辺で形を得たが、白石が5に来たことで、9と割り込む手筋が発生してしまったのである。
【2図】黒1以下はほぼ一本道で白20まで。取り込まれていたはずの△が、逆に黒6子を取って復活してしまったのだから白の成功は疑う余地がない。
しかしこの後の競り合いの中で谷口さんに失着が出て、佐々木さんが逆転勝利。ベスト4に進出したことで、棋聖戦ファーストトーナメントへの参加権を手中にした。佐々木さんは「プロ棋戦の予選に参加できるなんて、夢のまた夢です。僕の囲碁人生の中で一番の快挙です」と喜びを語った。
●メモ● 第3回ネット棋聖戦SAクラスの決勝大会でベスト4に入ると、第42期棋聖戦の予選参加権が与えられる。出場者にとってこの権利獲得が最大目標であるようで、どの選手に話を聞いても、異口同音に「決勝よりも、準々決勝が最も大事な勝負」との答えが返ってきた。