上達の指南
(2)黒のノゾキから混戦に
(寄稿連載 2015/11/10読売新聞掲載) 諸留さんは47歳。ベスト8では最年長。アマ碁界では知られた強豪で、全日本早碁オープン戦でプロとの対戦経験もある。
寺山さんは早稲田大学囲碁部OB。2、3年生の時には大学囲碁界唯一の団体戦である全日本大学囲碁選手権で、連覇の一員として活躍した。
講評は審判長の王立誠九段。
【局面図】 白22の詰めに諸留さんは力強く黒23とこすんだが、ここでは右上隅を黒24に締まるくらいが相場であった。黒33のノゾキから混戦に突入した。白32ではイの飛びならゆっくりしていた。黒41の強手に白42から44と抵抗したが、頑張り過ぎだったようだ。
【1図】 白1の引きがよかった。黒2に白3のゲタなら相場だった。諸留さんは黒47と手堅く3子を取ったが、これは少々ぬるかった。
【2図】 黒1の切り一本から3の押しが手ごわく、白4の抜きに黒5なら実戦より勝った。白50の守りは緩着。黒1子を抜いた厚みを生かしたかった。
【3図】 白1の肩ツキから3とはねる調子である。白5となれば存分に厚みが働いている。
白58の飛びも逸機であった。
【4図】 白1が勝っていた。黒2のハネに白3以下11と運んでいれば白優勢だった。
この後、白が挽回して終盤は微細な勝負と思われたが、寺山さんが当たりに気付かぬ大ポカを犯し、勝負は一瞬に決した。
(千喜良 忠)
●メモ● ネット棋聖戦のSAクラスは8リーグある。年間を4シーズンに分け、各リーグがシーズンごとに優勝を争う。シーズン優勝者が決勝大会出場権を得る。単純計算なら32人だが、第2回大会は17人。複数シーズン優勝者がいるためで、全シーズン優勝者は準々決勝にシードされる特典がある。
準々決勝
白 寺山文哉
黒 諸留康博