上達の指南
(3)猛攻で趙さんが決勝進出
(寄稿連載 2015/11/17読売新聞掲載) 趙さんは初代ネット棋聖。谷口さんは、準々決勝で姿を消した寺山文哉さんと早大同期で、全日本大学囲碁選手権連覇の際の仲間。準々決勝で前期準優勝の伊瀬英介さんを破ってベスト4に駒を進めた。
【局面図1】 谷口さんの白8は、伊田篤史十段が本因坊戦で試みたスベリ。黒は手抜きがよく、「白は次の手がなく存外」とは王立誠審判長の見解である。
黒17と広げられたとき、白の一手が難しい。谷口さんは白18と五線から臨んだが、王九段は「白22とつけ、黒24のハネに白イ、黒ロ、白ハくらいが相場でしょう」。黒25と迫られ、白は26、28と下辺に手段を求めた。
【1図】 ここは下辺ではなく、白1とつけるのがしゃれていた。黒2の出に白3以下7とし、「これで治まるのがよかった」と、王九段は言う。
戦いが下辺へもつれ込んだとき、白42のツギが重かった。
【2図】 白1の押しがよく、白3の押さえに黒4なら白5と応じ、黒Aには白Bで、これは黒が持たない。
【局面図2】 中央に黒の大模様が広がってきた。白1の飛びが問題の一手。黒2以下10と伸びられて白苦しくなった。白1ではAと当て、黒Bに白2のカケがよかった。「黒5に白C、黒D、白Eならまだ難しく、長期戦でした」と王九段。この後、趙さんが猛攻をかけて中央の白の大石を召し捕り、決勝進出を果たした。
(千喜良 忠)
●メモ● 谷口さんは今回が初参加。第1回大会は原則木曜対局だったため、都合がつかなったという。今回から土曜対局枠が設けられ、勇躍、参加を申し込んだ。目標だったベスト4入りは見事達成。棋聖戦でのプロとの対局は「持ち時間3時間なので、結果にこだわらず存分に考えて楽しみたい」。
準決勝
白 谷口洋平
黒 趙錫彬