上達の指南
(4)趙さん、勝負強さで連覇
(寄稿連載 2015/11/24読売新聞掲載) 決勝は、連覇を目指す趙さんと諸留さんの顔合わせとなった。審判長・王立誠九段の講評で熱戦の模様を紹介する。
【局面図】 模様に深々と白14と打ち込み、黒15のコスミツケから戦いに突入したが、白16と伸びたのはやや重かった。
ここは白32に飛び、黒17のカケに白20とつけてさばく調子であった。
白18、黒19はともに形。白は20のツケから22とはねて、さばきに出た。白32のツギがどうだったか。
【1図】 白1のコスミツケから3とついでいるのが堅実だった。黒Aのケイマには、実戦と同じく白B、黒C、白Dと生きている。
下辺でやや割を食った諸留さん、白46のハサミから48とはったのは、「少々焦りの気持ちがあったか」と王九段は見立てた。
【2図】 白1の飛びが堂々としており、黒2の押さえに白3の詰めが絶好点である。後に白Aと置き、黒B、白C、黒Dに白Eが有力な狙いとなる。
黒49のハサミから小競り合いになったが、白54の飛びが緩みであった。
【3図】 白1のケイマなら黒を封鎖でき、黒は2、4と生きるほかない。続いて白5のコスミツケが厳しくなる。
実戦は黒63のケイマが絶好で、黒の優勢が歴然となった。趙さんが勝負強さを見せ、先番中押し勝ちで連覇を達成した。
(千喜良 忠)
(おわり)
●メモ● トップアマにとってネット棋聖戦の最大の魅力は上位4人がプロの棋聖戦に出場できること。プロ棋士との真剣勝負はめったにあることではない。第1回大会の4人は全員が予選1回戦を突破する大健闘。連覇を果たした趙さんは「勝ち上がってリーグまで行きたい」と闘志を燃やしている。
決勝
白 諸留康博
黒 趙錫彬