上達の指南

信田成仁六段の「大事な石つまらない石」

(1)捨てる勇気と判断

(寄稿連載 2016/10/18読売新聞掲載)

 中盤戦に差しかかると、石の価値の判断が重要になってきます。どうしても捨てられない大事な石なのか、役目を果たし捨ててもいい石なのか。この判断ができれば飛躍的に力がつきます。
 大きな石だとつい助けたくなりますよね。でもそのために好局を失うことも多いのです。そうならないための力をつける題材を用意しました。

 【テーマ図】左下で黒7子が当たりとなっています。大きな石であり、つぐのが普通です。白もそう判断してイと当ててきました。つぐのがいいのか、もしつがないならどう打つか。決断のときですね。

 【正解図】黒1と当てて捨てるのが正しい判断。白2と取られますが、黒3と下がって右下一帯の地は夢のような大きさとなりました。勝勢確立です。黒3でAと当てるのは勝手読みです。白Bと当て返され、黒Cの取りに白Dとなだれ込まれ、折角のチャンスを逃します。むやみに当たりは打たないことです。

 【失敗図】黒は7子を助けてもいいことはありません。白の大事な石を取れる、または白を分断して弱くすることができる場合は助けますが、この場合は白2と伸びられ団子石となります。黒3に白4と開かれてはつらい限り。形勢もすでに怪しい状態です。  石の大きさだけで助けるのは判断を誤ります。捨てる勇気を持つことが大切です。

●メモ● 信田六段は東京都出身、65歳。1973年入段、89年六段。14歳で碁を覚え、木谷実九段のもとを飛び込みで訪問し、入門。通いで学んだ後、18歳から21歳まで内弟子生活を送った。内弟子は加藤正夫、石田芳夫、武宮正樹ら20人余りを数えた。「楽しい思い出ばかりです」

【テーマ図】
【正解図】
【失敗図】