上達の指南
(3)厚みには近寄らずかわす
(寄稿連載 2018/01/23読売新聞掲載)今回は、三々入りからの新しい常識の活用法をご説明します。 【1図】の白6は、従来の常識では考えられない手ですが、最近は打たれる三々入りです。
黒1の押さえから黒13までと進んだ局面で、この後の白の打ち方を考えていきましょう。
【2図】白Aから黒Dは打たない方がいろいろよいことがあり、味よく白1とハウのが、新しい常識です。
ハネツギを打たなかったことで、黒2のとき、白3とワリウチできます。打ち込んだ白は厳しく攻められる心配がありません。
黒4のとき、白5がおすすめです。黒模様を消し、白十分の進行と言えるでしょう。
白5で、【3図】の白1と打ちたくなる方がいるかもしれませんが、この手は黒2と換わってよくありません。
右上は、後に黒Aから白Dとなる可能性が高いところです。Cに黒石がくることで、右辺には白地はほとんど見込めません。白1より黒2の価値がはるかに勝り、この2手の交換だけでも白がだいぶ損をしたことになります。相手の厚みには近寄らず、【2図】の白5のようにかわして打ちましょう。
【2図】の進行を嫌って、【1図】黒13の手で【4図】の黒1と打ってくれば、白2が気持ちのよいハネです。3子の頭をハネることで黒の形を崩しており、白には不満がありません。右辺の黒にも、まだまだ白から狙いが残っています。
●メモ● 大場七段はおとなしそうに見えるが、棋士仲間にはスポーツマンとして知られる。「子供の頃から体を動かすのが大好き」で、少し前までは日本棋院の野球部で活躍し、フットサル部では幹事も務めていた。今はどちらもやめて、近所のテニススクールに通い始め、夢中になっているそうだ。