上達の指南

大場惇也七段の 三々入りの新常識

(4)戦い起こる前にハイ

(寄稿連載 2018/01/30読売新聞掲載)

 新しい常識を使いこなせるように、最終回は知っておきたいことをまとめておきます。

 【1図】星に白1と三々に入った後、黒8に続いて白Aから黒Dが定石とされてきましたが、これを打たずに白9とハイ、黒10までが新定石となりつつあります。

 白9を打たないと、【2図】の黒1に白2、4と受けることになります。このとき黒Aと打てば白は先手を取れるので不満ありません。周囲の状況によって黒Aが不要な時は、黒1が大きな手になります。そこで、戦いが起こる前に白9を打っておくのが味のよい手です。

 【3図】△と▲を交換しておけば、黒1に白は受ける必要がありません。続いて黒Aには白B、黒C、白Dまでと応じて白は生きています。

 【4図】【1図】に続いて黒1と打たれたときの対応を考えましょう。

 白Aと受ければ生きていますが後手を引きます。そこで、先手を取れる可能性のある白2のハイがおすすめです。黒は手を抜くかもしれませんが、黒3と受ければ白は先手を取れます。

 ただし、黒3でBに押さえられる状況のときは白Aの受けが必要なので気をつけましょう。

 【5図】▲に押さえられたときの、隅の死活を確認しておきましょう。白が手を抜くと、黒1から5まで、白は生きられません。一見、白A、黒B、白Cが追い落としの手筋のようですが、黒Dまで、白がダメヅマリのため手になりません。

 【6図】なお、【5図】の黒3で黒1は失敗。白2、4と打たれてコウになってしまいます。

 余談ですが、人工知能(AI)の「DeepZenGo」は、今のところ、この場面でよく黒1と間違えます。死活のミスで負けることが時々あるようです。とても強いAIにも、欠点はあるのですね。

(おわり)

●メモ● 戦う棋風の大場七段は、詰碁づくりも趣味の一つだという。日本棋院発行の『碁ワールド』などにも出題しているが、超難解な詰碁作家として、棋士の間でも定評がある。「詰碁は、全然作れない時もありますが、次々と浮かんできて、急にたくさん作り始めることもあります」と話す。

【1図】
【2図】
【3図】
【4図】
【5図】
【6図】