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上達への指南
大垣雄作九段の「置碁上達のポイント」 読売新聞 2015/06/02掲載
(1)状況を認識して着手判断(寄稿連載)
 私が講師を務めている有段者向けの教室で、最も力を入れて話しているのが「棋理」についてです。技術も大切ですが、まずは石の理論を身につけることが重要だと考えています。そうすることで、無駄な着手や無意味な一手が見えてくるようになります。盤面の景色もこれまでとは違ってくるはずです。

 【テーマ図】 5子局。白1と来られました。いやなものです。どう応じますか。

 【1図】 典型的な失敗例が黒1のコスミツケです。▲が攻められているとの被害者意識にとらわれています。この意識が過剰になると、黒3と縮こまって眼形を作ることしか考えられなくなってしまいます。黒3でAとこすみつけるのも白Bと伸びられ、なお白からCの三々入りが残っています。上辺と左辺の白を強化させた罪は重い。
 こうした症状の生徒さんに私は、次のようにお話しします。

 【2図】 左上の勢力関係は▲と△が2子ずつで、石数では対等ですが、連絡した形の黒の方が優勢。しかも次は黒番ですから、圧倒的優位な立場にあることを、まず認識してください。相手の力量はこの際、まったく関係ありません。この観点から碁盤を素直に見渡せば――。

 【3図】 黒1もしくはAのハサミがすぐに浮かぶことでしょう。白2、4に黒3、5と飛び合うと、中央に出る手が相手の分断を兼ねるという最高の進行となっていることが分かるはずです。
●メモ● 大垣九段は1970年生まれ。東京都出身。榊原章二九段(故人)門下。兄弟子に片岡聡九段。過去に棋聖戦七段戦と八段戦に優勝し、最高棋士決定戦を戦っている。全局的なバランス感覚が持ち味の棋風で、アマチュア指導の際は論理的に説明することを心がけているという。

【テーマ図】


【1図】


【2図】


【3図】

大垣雄作九段の「置碁上達のポイント」 (1) (2) (3) (4) [ 『上達への指南』一覧はこちら → ]