上達の指南
(1)味方の石がいる方へ引く
(寄稿連載 2005/07/25読売新聞掲載) 私はアマチュアの方と碁を通してよい時間を共有することを楽しみにしていますので、アマの皆さんと交流する機会は多い方でしょう。
先日行われた夏樹静子先生主宰のグリーン碁石囲碁大会は14年前から毎年審判長として出席していますし、ホテルでの囲碁サロン、小川会の皆さんなど、長いお付き合いの方が多いです。
日ごろからアマ有段者の方でも、意外と心配の種を持っていることを感じています。今回は、アマの皆さんの抱えている心配、恐怖心を取り除くことをテーマと致しました。
【1図】 黒▲の大ゲイマ受けに白1とつけてさばくのは、よくある打ち方です。このとき、意味なく黒2と遠慮する方が多いのです。白3から5となっては、▲との幅が狭く黒不十分な形です。
【2図】 黒1と押さえるのが正しいのですが、白2と切られる恐怖心が先に立つようです。そこで黒3から5と押さえてしまいがちです。
これは白6から8と打たれて黒最悪ですが、案外このように打たれる方もいます。
【3図】 少し頑張られる方は、黒1、3とアテてから5とツギます。しかし白6の渡りに、ここでも恐怖心が頭をもたげて黒7と押さえてしまいがちです。
白8まで、これで黒は一応安心しますが、この分かれも前図と五十歩百歩です。
【4図】 私は、黒1と味方の石(▲)がいる方へ引くことをお勧めしています。
しかしここでも白2、4と打たれることを心配している方が多いのです。よく見れば黒イで何事もないのですが、恐怖心が先に立ってしまうのでしょう。
【5図】 結論として、黒1の引きに白は2以下6で、黒7まで必然。これなら黒申し分ないです。恐れず、黒1以下を身に着けてください。
●メモ● 小川六段は1951年4月、福井県生まれ。中学3年の時、第7回全日本女流アマチュア選手権戦で優勝。「おかっぱ本因坊」と話題になり、翌66年、木谷実九段に入門した。