上達の指南

小川誠子六段の「アマの心配症解決策」

(3)石は上に向かうように打つ

(寄稿連載 2005/08/08読売新聞掲載)

 アマチュアの方は、どなたも強くなりたい気持ちは十分お持ちでしょう。でも、勝ち負けだけにこだわっているのではつまりません。囲碁を通じてお互い、よい時間を共有する、という気持ちを持っていただきたいものです。

 【1図】 △のハサミから白1とはわれるのも、アマチュアの方の恐怖の一つです。
 白1と来られたとき、反射的に黒2と下がる方がいます。しかしこれは心配症の最たる例で、利かされで黒よくありません。

 【2図】 せめて黒1と押さえてほしいのですが、多くの方が白2のノゾキが心配のようです。黒3のツギに白6まで眼がなくなることを恐れているのです。

 【3図】 しかし白のノゾキには、黒1のコスミつけから3と下がる手があって、黒9まで振り替わって黒何の心配もないのです。

 【4図】 とはいっても、前図白8とついだ手では、シチョウ関係によっては白1の押しから3があるのです。白イのシチョウが成立するとなれば、黒はロと防ぎますが白ハのツギで黒うまく行かないのです。
 このような白のウルトラCもありますので、2図の黒1押さえは必ずしもお勧めはしていません。

 【5図】 白1のハイに対して、私の一番のお勧めは黒2のトビで、これが簡明です。なによりも、石が上に向かって行くのはよいことです。

 私が日ごろ、アマチュアの方に注意しているのは、
 〈1〉石の連絡を大切にする(自分の石が5か所以上に分断されないように)
 〈2〉石は上に向かって行く。迷ったら上に打つ(石が上に行くと、自動的に相手の石が切れる)
 〈3〉石が固まると石の働きが悪くなるので、ご注意
 このようなことを申し上げています。5図の黒2トビは上に行く手で、よいのです。

【1図】
【2図】
【3図】
【4図】
【5図】