上達の指南
(2)打ちたい手試すのも大事
(寄稿連載 2005/08/01読売新聞掲載) アマチュアの方は、心配の種を心に秘めてしまいがちです。恥ずかしがらず上手の方にどんどん聞いた方がよいと思います。不安を持ち続けていると、次のステップに進みにくいものです。
また、少々こわいようでも打ちたい手を試してみるのも大事なことです。ただし、失敗したときそのままにしておくのではなく、聞いたり本で調べたりするのが大切だと思います。
【1図】 アマチュアの方の恐怖心ナンバーワンともいえるのが、白1のハサミです。恐怖心が先に立つと、黒2のコスミつけから4と隅に閉じこもってしまいがちです。
しかしこれはよくありません。もっと極端な方は、黒4でイとコスミつけ、白ロに黒ハ。これは重症です。
そんなに白1が嫌なら、最初▲と一間に受けず、ニの小ゲイマとか2の大ゲイマに受ければよいのです。
【2図】 私は黒1のハサミをお勧めしています。白2に黒3と飛び、白4のボウシに黒5と受けて黒立派な形です。
ところが有段者の方でも、「白6のノゾキが心配なんです」という方が多いのです。
【3図】 しかし、黒1とついでいて心配ありません。
仮に白2、4と強引に切ってきても、黒5のツギさえ覚えていれば大丈夫。次に黒イの抱えと、黒ロのゲタが見合いで何事もありません。
【4図】 白1とこちらを切ってくる方が多少ややこしいのですが、黒2の下がりさえ知っていれば大丈夫です。白3、5と抵抗してきても、黒6から8のカケに回れば、黒十分戦えるでしょう。これは、白はただ切っただけで、何の得もしていないのです。
なお、上辺の白に対しては黒イと並んでじっくり攻めるのがよい手です。
過剰な恐怖心は無用です。心配があれば、早めに解決しておきましょう。
●メモ● 小川六段は木谷実九段のもとで4年間修業し、70年、19歳で入段した。95年六段。女流選手権2期、女流本因坊、女流鶴聖各1期。棋道賞5回。88年、テレビ囲碁番組制作者会賞受賞。