上達の指南
(1)フトコロ狭めるハネ一本
(寄稿連載 2013/04/30読売新聞掲載) 碁が強くなるには、どんな勉強法がよいでしょうか――。
アマチュアの方がプロによくする質問です。答えは、プロの碁を並べる、打つだけでなく並べ返して強い人に見てもらうなどですが、詰碁もよい勉強になります。詰碁は読みの訓練になり、また手筋を知ることによって戦いの力が付きます。しかし、詰碁は難しい、面倒だ、と嫌う人が少なくありません。
難しく考えないでパズル的な感覚で取り組んでほしいのです。それには難しい問題は避け、易しい問題を数多くやることです。
第1回のテーマは「ハネ殺し」。「死はハネにあり」と格言にもあるように、ハネ一本でフトコロを狭め眼形を乏しくします。
【基本型】 白のフトコロが長そうに見えますが。
【解答図】 黒1とはね、白2と換わってフトコロを狭め、黒3、5で簡単に白死です。黒1で5は、白1で生きです。
【問題図】 白は眼形が豊かそうですが、まずハネを考えてみてください。
【正解図】 黒1のハネがよい手で、白2と換わって黒3と急所に置きます。白4と眼を持っても、黒5から7で死にです。
【変化図】 白2と眼を持てば、黒3のツケがよい手です。なお、黒3でAは白3、黒B、白Cでオイオトシです。
【失敗図】 黒1が急所に見えますが、白2と眼を持たれます。黒3のコスミには白4のツギから6で生きられ、失敗です。
●メモ● 大橋六段は最近、黒番が当たると初手を「6の六」、3手目を「12の十四」など、隅ではなく中央に打つ破天荒な布石を試みている。ほぼ五分の成績を残している。最初は相手もびっくりしていたが、近ごろは知られてきて、対策を立てられるようになった。この布石を続けるか、考慮中。