上達の指南
(3)ダメヅマリは身の詰まり
(寄稿連載 2013/05/14読売新聞掲載) 詰碁を解くコツのひとつに、「絶対の急所」を探すことがあります。相手にその急所を占められると、こちらが2手続けて打っても絶対に死なない点――、これが絶対の急所です。もしこのような点があれば、初手はここから攻めて間違いないとしたものです。
「ダメの詰まりが身の詰まり」とはよく聞く格言です。詰碁にはダメヅマリの筋もよく出てきます。問題を見たとき、攻める石のダメが一杯に詰まっていたら、「これはもしかして」と感じてください。おおむねダメヅマリで攻めることができると思ってよいでしょう。
【基本型】 ▲の1子を活用し、ダメヅマリに導いてください。
【解答図】 黒1の下がりがよく、白2と換わって黒3にはねると白はAに押さえられません。実戦で打てたら気持ちいいですね。
【問題図】 取られている黒2子が活躍し、ダメヅマリで仕留めます。初手、どこから行くかがポイント。
【正解図】 黒1の切り込みから3が意表を衝(つ)く好手です。これで白をダメヅマリに持って行き、黒5、7で仕上げ。白はAと打てず、死にます。
手順中、白4で7なら黒4、白A、黒Bです。
【変化図】 黒1、白2の後、黒3、5と眼を奪うのはいけません。白6と下がられ、黒Aに白Bと当てる余裕があります。
【失敗図】 黒1のハネは白2とかけつがれ、黒3に白4まで生き。黒1で3も白4、黒A、白Bで失敗です。
●メモ● 大橋六段は修業時代に詰碁の名著「発陽論」に接し、詰碁創作に興味を持ったため、作品は難しい問題になりがちだった。張栩九段から「簡単そうに見えて、ちょっとヒネリが利いて、解いたときに爽快感があるのがよい詰碁」と教えられ、最近はそのように心掛けている