上達の指南
(1)難解ナダレ定石 簡明に
(寄稿連載 2012/06/05読売新聞掲載) 囲碁の定石は、たくさんあります。一つの定石には、それぞれ変化があって、なにもかも覚えるのは大変です。
ところが、最近はプロでも簡明型がはやっています。大きな定石で形を決めるより、分かりやすく打って、その後の戦いで勝負しようというわけです。
簡単な定石でいいのなら、難解定石が苦手なアマチュアの方には朗報ではないでしょうか。
【テーマ図】 ナダレ定石は変化が多くて難しいのですが、最近は黒1と当ててしまう簡明型が大流行。白2に黒3とかけつげば、もう定石は終わり。これで十分互角に打てるのです。
【1図】 この定石は後の打ち方も難しくありません。白1と割り打ちされたら、左右どちらかから詰めればいいのです。
左から黒2と詰めれば、白3の二間開きは当然ですが、黒4のコスミツケから6と一間に構えて、左右から白に圧力を掛けます。
【2図】 白1には黒2の方から詰めるのも有力です。白3の開きに黒4とケイマに出れば、攻められることはありません。どちらから詰めても悪くなりませんから、好みで選んでいただければいいでしょう。
【3図】 2図の黒4では、黒1とボウシするのも有力です。白2と逃げるしかありません。2図でも3図でも、どちらでも大丈夫。序盤は絶対の手というのは少ないのです。自分で選べる範囲が多いのも囲碁の楽しいところです。
●メモ● 奥田三段は東京都出身。1988年11月27日生まれ。大淵盛人九段門下。小学2年の時、全国少年少女囲碁大会に出場。2004年入段、11年三段。08年女流本因坊戦挑戦者決定戦進出、09年女流名人戦リーグ入り、10年大和証券杯ネット囲碁レディース準優勝。着実に実力をつける有望株。