上達の指南

大西竜平二段の 新人王への道

(1)入段2年目 喜びと驚き

(寄稿連載 2017/02/07読売新聞掲載)

 昨年、新人王のタイトルを獲得する幸運に恵まれました。入段2年目でこのような結果を出せたことに、喜びとともに自分自身が驚いています。自己紹介を兼ねながら、第41期新人王戦を振り返ります。

 小学1年生のとき、祖父に手ほどきを受け、地元の東京都狛江市で、ボランティアの方が開いた「子供の会」で楽しく囲碁の勉強をしました。小学3年生の頃に緑星学園・尾山台教室へ通うようになり、やがて韓国囲碁留学の縁ができました。
 囲碁の勉強ができる楽しみで、寂しさは感じませんでした。この韓国での2年余が、僕の囲碁の基礎を作ったと思います。

 【テーマ図】新人王戦1回戦を勝ち上がり、2回戦は日本棋院関西総本部の田中伸幸二段(当時)で、初めて単身で大阪へ行きました。僕の白番で黒57と守られたところですが、これはやや手堅過ぎたようです。次がちょっと自慢の一手でした。

 【1図】白1のツケが効果的で、黒2、4のハネノビに白5と好形にカケついで白十分な態勢になりました。

 【2図】▲に白1の飛びは常識的ですが、黒2から4と飛ばれ、中央が厚くなり白不満です。

 【3図】結論として、テーマ図の黒57では、黒1と飛び、白2以下黒5が正着でした。

 ここでポイントをあげましたが、終盤で猛烈に追い込まれ、一時は投了も考えたほどでした。しかし、土壇場で相手にミスが出て、大逆転。幸運にも3回戦に進出できました。

●メモ● 大西二段は2000年生まれ、東京都出身。15年4月入段。16年は39勝10敗で日本棋院の勝ち星ランキング第2位、勝率は0.795で第1位となった。また初出場だった第41期新人王戦で優勝を飾り、16歳6か月と、これまでの一力遼七段の17歳3か月の最年少記録を更新した。

第41期新人王戦
白 初段 大西 竜平
黒 二段 田中 伸幸

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】