上達の指南

大西竜平二段の 新人王への道

(2)韓国留学で大きく成長

(寄稿連載 2017/02/14読売新聞掲載)

 小学校4年生の終わり頃、韓国の洪章植先生のところへ囲碁留学が実現しました。先生のお宅で1年ほどホームステイした後、沖岩道場の寮に入り、鍛えられました。
 寮生活は囲碁漬けの毎日で、楽しみはわずかな運動の時間ぐらい。寮生は80人以上もおり、日本からの留学生も3~4人はいました。
 ホームステイと寮生活合わせて2年3か月余りの留学を終え、中学入学と同時に帰国しました。この留学はかけがえのない時間で、読みのスピードと感覚が格段に良くなりました。

 【テーマ図】3回戦は安達利昌三段(当時)です。ここまでは比較的平常心で打てましたが、ベスト8までくると少し「新人王」を意識してきました。
 僕の白番で、黒35と右辺の白に迫られたところです。ここをどうさばくか、ちょっと工夫しました。

 【1図】白1のツケ一本から3、5のハネノビが好手順でした。黒6のツギに白7のケイマが決め手で、白9まで進出しては白うまいと思いました。

 【2図】単に白1、3から5にケイマだと、黒6、8と強行に切断されます。このとき1図のように白A、黒Bの交換があると、白11でCの切りが成立するのです。

 【3図】1図の白1ツケで、本図白1に押せば普通ですが、黒2以下10まで白苦戦です。

 本局は終盤まで勝負がもつれ、白の半目勝ち。前局に続いての辛勝でした。

●メモ● 大西二段は、年末の「GO・碁・ジャパン冬季合宿」に参加。東西から若手棋士およそ40人が集まった。個人戦、団体戦、アルファ碁などの囲碁AIの棋譜研究と、囲碁漬けの4日間だった。「今回は31局も打ち、これほど質、量とも充実した囲碁合宿は初めて。大変勉強になりました」

第41期新人王戦
白 二段 大西 竜平
黒 三段 安達 利昌

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】