上達の指南
(3)決勝第1局 際どい勝利
(寄稿連載 2017/02/21読売新聞掲載)中学1年から日本棋院の院生になりました。同期には4か月だけ年上の芝野虎丸さん(現三段)がいました。彼には中学3年生の時、院生枠の夏季入段で一歩先を越されましたが、僕はその冬の予選で入段を果たし、15年4月にそろって入段しました。
【テーマ図】2回戦は終盤で大逆転、3回戦は半目勝ちとラッキーが続きました。そのせいか準決勝の稲葉貴宇三段戦は比較的リラックスして打てました。そしていよいよ決勝三番勝負に臨むことになりました。
決勝戦は谷口徹二段で、関西棋院での対局でした。公式戦では初手合です。僕の白番で、白42と中央へ飛んだところで、昼の休憩時間になりました。「どこから来るのか……」
【1図】黒1のコスミくらいを予想していました。白2の受けに黒3の開きでしょうから、白AまたはBと掛かってボチボチいく予定でした。
【2図】ところが、黒1と大上段から来られ、ビックリしました。白2とこすむくらいしか浮かばず、黒3以下7のケイマとなりました。続いて白Aと掛けて、中央の厚みを主張しました。
【3図】なお、2図に続いて白1と遮断を図ると、黒2のカケツギ以下8で巧みに生きるのが黒の狙いです。
本局も際どい勝負になりました。正しく打たれていたら半目負けもありましたが、際どく半目勝ち。1局勝ってホッとしました。
●メモ● 大西二段は初段だった昨年3月、現役最年長の杉内雅男九段(当時95歳)と王座戦予選で対戦した。杉内九段とは80歳差。結果は大西初段の先番中押し勝ち。「杉内先生の石が張っていて、とても95歳とは思えませんでした。この年齢差での対局は、不思議な気さえしました」
第41期新人王戦決勝第1局
白 二段 大西 竜平
黒 二段 谷口 徹