上達の指南
(4)高ガカリには簡明に
(寄稿連載 2009/06/30読売新聞掲載) 互先の碁では甘いとされる打ち方でも、置碁なら許される場合があります。その差が理解できているのなら、いうことはありません。少しでも互角に近づいていけるよう、努力し覚えていけばいいことですから。
【テーマ図】白3と一間に高く両ガカリするのも数多く見られます。白イに比べて一路高い分、中央での戦闘力が強いといえます。
【変化図1】黒1、3のツケノビが簡明でおすすめです。白4のノビに黒5と突き当たり、白6のケイマに黒7の曲げが大切な手です。黒の形は厚く不満はありません。この後、白が碁にするのは大変でしょう。
【失敗図】変化図1の黒5で1と押さえるのは無理です。白2、4と出切られます。黒5の切りに白6、8とはねつがれ、黒9に白10から12と押され、14と黒2子を取られては黒つぶれです。
【変化図2】黒1と上につけ、3と引くのも有力な戦法でしょう。白4の三々にはあいさつせずに黒5の切りが好手です。白6に黒7と伸び切った形が好ましく「黒良し」です。
【変化図3】変化図2の黒5では、1と素直に押さえるのももちろんあります。白2に黒3とぐずみ、白4に黒5のハネから7とかけつぐのが堅実でしょう。少し甘いけど、許される範囲だと思います。互いに1手ずつ打つのですから、両ガカリを怖がらず、上達を目指してください。
(おわり)
●メモ● 大沢三段は97年、第39回全日本女流アマ選手権戦で優勝し、98年入段。そのころは菊池康郎さんが主宰する緑星囲碁学園で同門の山下敬吾棋聖に打ち碁を見てもらっていた。現在は三村智保、河野臨九段、金秀俊八段らと研究会を開き、勉強している。