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上達への指南
大沢奈留美三段の「サバキは軽く」 読売新聞 2006/07/17掲載
(3)「思い通りさせぬ」も大事(寄稿連載)
 サバキの局面というものを皆さんはどうお考えでしょうか。だいたいの場合、相手の勢力の中でのことですし、あまり強い態度はとれないものです。重いサバキですと、相手の勢力がさらに増して大模様になったり、じたばた動いた結果、大きく死んでしまうこともあります。皆さんにも、そんな経験はありませんか。上達するためには、いかに軽くさばくかということがとても大切だと思います。

 【テーマ図】 右上隅、白の三々入りからの変化です。白は3子を捨て、Aの黒1子を抜いて治まりにつきました。これに対し黒は▲と急所に迫り、さらに白を攻めようという構えです。

 【失敗図1】 白1からはえば生きはあります。しかしこれは黒、笑いが止まらないでしょう。テーマ図▲の意図は石を取ることではなく、攻めながら模様を広げることにあります。はっていくのは黒の思うつぼです。相手の構想通りにさせないのも大事なことです。
 ただ、これは見解が分かれるところで、序盤から二線を何本もはうようではつらい、というプロも多いんです。そのように考える人は白8で10と抜き、黒8に白11と隅に手を戻すくらい。

 【失敗図2】 白1とコスんで顔を出しました。今度は黒2以下、こちらの方から押してきます。白は抵抗できません。黒6のケイマで黒は自然に右辺に立派な模様を築きました。一方、白はまだ生きていません。伸びても伸びても、上辺の黒の厚い構えが待ちかまえています。白、つらい限りです。

 【正解図】 白1のツケが手筋です。飛躍した、格好のいい手ですね。黒2と押さえてくれば白3と上をはねます。白13まで、黒の勢力圏で堂々の治まり形です。上辺の黒の厚みも制限しており、白は大満足です。なお、白5では6に伸びる変化もありそうです。

 白1は場合によっては、黒1子をポン抜いた白4子を捨ててもいいという考えです。それについては次回、説明したいと思います。  

●メモ● 大沢三段が緑星学園に通うようになったのは小学5年から。山下敬吾棋聖も同じ日に入門。当時から無口だったという。学園の思い出は「碁も正座も厳しかった」。小学生にとっては満員電車での行き帰りも大変だった。

【テーマ図】


【失敗図1】

【失敗図2】



【変化図2】
大沢奈留美三段の「サバキは軽く」 (1) (2) (3) (4) [ 『上達への指南』一覧はこちら → ]