上達の指南
(2)盤面全体を見て大場探す
(寄稿連載 2016/01/12読売新聞掲載) 布石の段階では、部分にこだわらず盤面全体を見る習慣をつけたいもので、そこから大場が見えてきます。大場を見分けるひとつの目安として、「双方の石の間隔が長い所」と覚えてください。
【テーマ図】 白10の構えに黒11と下辺に展開し、ごく普通の布石です。ここで白12と三々に入ってきました。嫌なものです。
白18のツギの後の一手が肝要です。
【1図】 2ケタ級の人が打ってしまいがちなのが、黒1のツギです。有段者から見れば、「それはない」となりますが、私の経験ではよく見かけます。
この心理状態は分かります。三々に入って来られ、対応している間に、この隅だけに神経が集中し、碁盤全体を見る余裕がなくなるのです。
白2と大場を占められ白4となっては、後れをとったのは明らかでしょう。
【2図】 ひとまず右上隅から目を離して、盤面全体を見ることです。まだ大場はたくさんあります。
双方の石の間隔を見てみましょう。左辺△と▲の距離は9間あり、ここが最大です。となれば黒1のあたりが文句のない大場になります。
続いて白2、黒3と大場を占めあえば、黒満点の布石です。
黒1に対し白A、黒B、白Cと1子を取りにくるなど、およそ考えられません。ということは黒Aとつぐ手も考えられないのです。
●メモ● 大沢二段が代表を務める「名古屋アミーゴ」は、月1回のペースで初級者向けのワークショップを開催している。参加者があきないよう、毎回、関心を引く企画を考えている。「最近はコミュニケーションの一環として、囲碁を楽しむ同世代が増えていると実感しています」