上達の指南

坂口隆三九段の「しっかりつなごう」

(1)中央へ頭を出して一安心

(寄稿連載 2008/06/30読売新聞掲載)

 布石、攻め、死活、寄せ。碁に強くなるためのポイントは幾つもあるのですが、アマのみなさんを指導している時、石と石のつなぎ方が不効率で損をしているなと感じることがよくあります。この講座を通じて、どうつなぐのがベストかを意識する習慣を身につけ、棋力をアップして下さい。

 【テーマ図】 アマ五段との、4子局の指導碁を基に作った図です。黒20でイと辺に打つか、黒22でロと守るかすれば、穏やかだったのですが、黒が左下の稼ぎを優先したので、白23と、右下黒の断点ハを狙っていきたいところ。黒は切り離されてはいけませんが、働きがないつなぎ方はいけません。どう応じますか。

 【変化図1】 黒1が好手。白2には、黒5までしっかりとつながっておき、黒7と中央へ頭を出せば、安心です。

 【変化図2】 白2と上に伸びられても、黒は断点を守りつつ中央に頭を出す方針で応じます。白は6のノゾキを利かしてきますが、下辺白も強くないので、バランスは取れています。

 【失敗図1】 黒1は工夫が足りない。白2と簡明に伸び、白4までやんわりと封鎖する変化は白の注文です。

 【失敗図2】 黒1のツケもこの場合、うまく行きません。白6と好形にかけつがれた上、白8でぴったり封鎖され、右下黒は重苦しい姿です。

●メモ● 坂口九段は1948年、京都府生まれ。57年、藤田梧郎七段に入門し、65年入段。84年、王座戦準決勝進出、NHK杯戦出場7回などの実績がある。2004年には、通算500勝を達成した。日本棋院関西総本部に所属し、井山裕太七段ら若手の台頭に「底上げが進んできた」と目を細める。

【テーマ図】
【変化図1】
【変化図2】
【失敗図1】
【失敗図2】