上達の指南

坂口隆三九段の「しっかりつなごう」

(3)正解手順ていねいに探す

(寄稿連載 2008/07/14読売新聞掲載)

 実戦で石のつなぎ方が問題になる時、着手する地点の候補はそんなに数多くありません。手拍子で打たず、どこがベストなのかをていねいに読めば、正解にたどり着けるはずです。

 【テーマ図】 私の黒番での打ち碁で出てきた局面を基に、複雑過ぎる部分を少し変えました。
 白は盤上のあちこちで実利を稼ぎ、地合いリード。一方の黒ですが、中央から上辺にかけての白を攻めたものの、中央で眼を確保されて空振りに終わり、かなり苦しい碁になりました。
 そこで"最後のお願い"といった感じで、黒1のツケ。あわよくば白を上下に分断し、上辺白をいただこうという手なのですが、白が正しく応じれば何も起きません。白番で、大石をしっかりつながる手を考えて下さい。

 【変化図1】 白1とはね込むのが正解です。黒2には、白3と1子を当たりにし、黒4と取らせてから、白5のツギ。これで、黒はどうしても白を切断できません。

 【変化図2】 もうひとつの正解手順です。黒2に対しすぐ白3でも、結果は同じ。例えば黒4ときても、白5でつながっています。

 【失敗図】 はね込む手を打たないで白1とつなぐと、黒2と打たれ、「あっ」と絶句することになります。黒4まで上辺の白の大石を取られ、損害は甚大です。

●メモ● 日本棋院関西総本部所属の坂口九段は、関西でのタイトル戦の立ち会いを任される。2月に京都で行われた第32期棋聖戦七番勝負。山下敬吾棋聖と趙治勲挑戦者の第5局の最終盤、珍しい「1手パス」の場面で、対局を止めて規定を確認。冷静な対応だったが「内心びっくりでした」。

【テーマ図】
【変化図1】
【変化図2】
【失敗図】