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上達への指南
坂井秀至七段の「今年この一手」 読売新聞 2008/12/15掲載
(4)不思議感覚の開きが流行(寄稿連載)
 今年後半から世界的にはやり出した、不思議な感覚の開きを紹介します。中国の有望株、劉星七段が愛用しているほか、張栩名人も10月に井山裕太八段との名人戦七番勝負第5局で打っています。

 【テーマ図】黒1がその開きです。イやロなどのシマリのように隅の地を確保できていないし、模様を張るにはハよりスケールが小さい。何か中途半端に見えますね。でも、実はいろんな長所があるのです。

 【1図】テーマ図の開き(A)と1路左の黒1を比べてみましょう。黒1だと白2から8まで収まる余地がありますが、黒Aの場合、白は窮屈で根拠を持ちにくい。これが大きなメリットです。

 【2図】白2から右辺をさばき、白12から上辺で戦いを起こす場合も、テーマ図の開き(A)と黒1では大違い。黒1だと白26までしのぎに苦労しませんが、テーマ図の開きだと狭く、白は困ってしまいます。

 【3図】黒1から13まではよく見られる手順です。黒13でAと押さえられないのは、黒3がテーマ図の開き(B)より1路左にあるからです。2図を振り返ってもらえば分かると思います。
 デメリットもあります。いつでも白から打ち込みを狙われること、そして模様のスケールが小さいことです。それでもメリットは捨てがたく、末永く打たれそうです。
(おわり)

●メモ● 坂井七段は昨春、小児科医の千尋さん(29)と結婚した。卓球台を買って自宅ベランダに置き、夫婦で楽しんでいる。「僕の対局のことを気にかけてくれる。だから、負けた時は独身時代よりズシリとこたえます」という。大一番の結果はメールで報告する愛妻家だ。

【テーマ図】


【1図】

【2図】


【3図】
坂井秀至七段の「今年この一手」 (1) (2) (3) (4) [ 『上達への指南』一覧はこちら → ]